▲街路樹のベニバナトチノキが、枝葉を広げている。
つくばいに、涼しげな水滴が転がる。
聖蹟桜ヶ丘駅から数分。川崎街道に面した一角にあるのが、花とカフェの店・草苑。
入り口は、人一人が通れるほどの狭き門。その奥に、末広がりの空間がある。
▲ オーナーの寺田さん。20年ほど前は、花好きの専業主婦だった。
マンションのエントランスに、花束を定期的に送る配送業を始めた。
お花に関わって、4年半の歳月が流れていた。
やがて、バブルが崩壊し花屋を続けるか、やめるか二者択一の選択に迫られた。
しかし、花への想いは絶ち難かった。
理想を形にするため、二つの店舗をひとつに統合し夢をつないだ。
苦労はつき物、お客さんに育てられた。だから、お客さんが財産。
「心貧乏で、いたくないわ!」と微笑む。
▲現在の場所にカフェを併設し、9年目を迎える。
営業形態は、①喫茶店②店内のイベント③お花の講師④グリーン・コーディネイト。
④については、ガーデニングという用語が、世間では馴染みのなかった頃から取り組んだ。
腕には誇りがある。お得意先は主に住宅展示場などで、華やいだ雰囲気を引き立てる。
喫茶店のモットーは、対面を通してうるおいのある心の交流、癒しの効果を持つ空間産業を提案する。
▲コーヒーは「珈琲」とも書く。
「珈」は、花かんざしの玉(コーヒーの枝が、花かんざしに似ていることから)「琲」は、玉をつなぐ
緒(ひも)の当て字。
沖縄直送の海ぶどう(※1)を、醤油とドレッシングで味わった。プチプチとした食感。
丼に盛り付けられた山芋の上で、磯の風味が広がる。
▲海ぶどうは、緑色で半透明の粒が、ぶどうの房のように連なる。
店の私設応援団には、自分の役割を心得たボランティア・スピリットに富むお客さんが多い。
店内のアートや椅子の修理など、人と店をつなぐ「房」のように、適性配置に付いている。
「草いろいろおのおの花の手柄かな」の句を想い起す。(※2)
▲「トイレを、見てください」お客さんが促す。勧められるまま見学した。
心地好い静けさと、ほのかな闇に包まれたスペース。
ブラックライトを使用したもので、上部に星空が映し出される仕組みになっている。
仕掛け人の寺田さんが、ユーモアを交えて話す。
店内で、「アラッ!」と感じるチャームポイントが欲しかった。
▲プラネタリウム鑑賞のつもりで夜空を仰いでいると、つい長居したくなりそうだ。
三上の教え(※3)では、脳の働きを活発にして、想を練るのに適した場所のひとつに
トイレが挙げられている。ともかく、想像力や連想をかきたてて星に願い☆を。
▲店造りの基本は、家のリビング感覚を大切に、居心地の良さを追求している。
お客さんとは、自然体で向き合う。心掛けているのは、「和」
「情けは人の為ならず」と言うように、巡り巡って自分のためになる。人生で身をもって体感してきた。
黄金律は、「人が喜んでくれる事をやろう!」
▲近くの席でお客さんが、思いを語る。
「公園に行くと誰かに会えるように、懐かしい人に会える店。
知人と健康状態を確認するための、確認の場にもなっていますよ」
店は人と人を結ぶ、ジョイントの役割を担う。
▲会話の中で、「人」、「人と人」という言葉がポンポン飛び出す。
これも思い入れの表れであろう。人と人が出会える場所の大切さを強調する。
街に元気が無いと、人はハッピーな気分にならない。
請われて、地域の社会活動にも参加する。
公私のバランスを保ってイキイキと、感受性に水やりを怠らない。
▲「時代を見据え、捉えることが大切。店は人」経営哲学を控えめながら、プレゼンする。
目標は、持続的な店の発展。交流の輪が結節点のように、大きく広がることを願っている。
「一杯のコーヒーから 夢の花咲くこともある」(※4)
店内は「静」と、「動」を併せ持つ。31日には、
ニイノマリアさん(日本フラダンス協会代表)を招いて、「フラライブ」を催す。
7月31日(火)19:30~21:30
会費 ¥2,500(ドリンク別)
備考
(※1)熱帯性の海藻。「クビレヅタ」枝分かれした小枝に、
直径2ミリほどの球状の葉が付く。
形は果物のブドウに似て、「海のキャビア」とも
呼ばれる。
(※2)レーガン大統領が、日本の国会で演説(1983年)
した際に引用した。大意は、「いろいろの草が、
色とりどりの花を咲かせている。各々の手柄のように」
他人に対する感謝の心を込めた(芭蕉)の句。
(※3)中国・宋の時代、政治家・学者の欧陽脩が説いた。
馬上(ばじょう・鞍の上)
枕上(ちんじょう・寝るとき)
厠上(しじょう・トイレの中)
(※4)霧島昇、1939年
写真
(左)オーナーの寺田さん
(中)店内風景
(右)寺田さんとスタッフの方々
掲載日付:2007/07/14